上杉風太郎「お義姉ちゃん、欲しくないか?」上杉らいは「欲しい!」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/17(火) 01:17:28.21 ID:LZf9W8fmO
「らいは」
「なぁに、お兄ちゃん」
「ありがとう」
「だからやめてってば。兄妹でお礼なんて」
「お前が居たから五つ子と知り合えたんだ」

俺が中野家の五つ子の家庭教師を引き受けたのはひとえに金の為であり、そしてそれは稼いだ金でらいはの為に何かしてやりたいと思ったたからだった。全ての始まりは、らいはなのだ。

「あいつらと知り合う前の兄ちゃんは、どうしようもない奴で、なんにもわかってなかった」
「お兄ちゃん……」
「恋愛なんて無価値だと決めつけ、その先にこんな幸せな未来が待っているかも知れないなんて、思ってもみなかった。ほんと馬鹿だよな」

俺はこれまで恋愛を過小評価していた。
人間関係ですら、切り捨てて生きてきた。
ひとえに必要とされる人間になるために。
目下、もっとも身近な存在である妹にとって、必要とされる兄となるべく、俺は中野家の家庭教師となり、そして五つ子たちと知り合った。

あいつらに勉強を教えて、もちろん苦労はしたし、やっぱり人間関係や恋愛感情なんて面倒臭い代物で、ろくなものではないと思いもした。
それでもその先に幸せな結末が待ってるなら。

「俺は変わることが出来て良かったと思うよ」

しみじみそんな結論を出すと妹が目を潤ませ。

「お兄ちゃん!」
「うわっ!? な、なんだよ、らいは!?」
「お兄ちゃん大好きー!」

飛びつかれて、大好きと言われた俺は、どうにかその想いに応えてやりたかったのだが、どうにも体幹を鍛えておらず、妹のタックルを受け止めきれずに転倒してしまい、そしてなんと。

ぶちゅっ!

「……えっ?」
「フハッ!」

転んだ拍子に脱糞した兄は嗤うしかなかった。


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