6:名無しNIPPER
2020/03/07(土) 17:27:03.97 ID:0JLV+IM30
──────
ふぅ、とひとつため息をつく。
少し奥まった住宅街にあるからか、それとも雪の日だからか、目の前の道路に人は全く通らなかった。まるで世界に1人で取り残されたような感覚。
思えば1人で暇を持て余すなど久しぶりな気がする。お嬢さまは大丈夫だろうか。
今日は事務所にいると言っていたし大丈夫だろう。家に食事は用意しているから帰っていても問題ない。それにお嬢さまは意外としたたか。私がいなくても、きっと。
それにしても今日は一段とよく冷える。雪が降っているから当たり前と言えば当たり前だが。
冷たい空気に白い景色はどうしてもあの頃を思い出してしまう。
熱くて寒くて寂しい。私が全てを失った、あの時の記憶。
あの時おじさまが、お嬢さまが私を迎え入れてくれなければ私はどうなっていただろう。きっと、空っぽのまま朽ちていったのだろう。
13Res/7.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20