6: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/03/06(金) 20:58:11.80 ID:hr1ls1V9o
「でもやってる人、好意なんすかね?」
「……どういう事?」
「平子さんのためにやってのかって話よ、菓子だし。もしくは『俺はお前の住所知ってんだからな』的なこととか」
「脅しってこと?や、にしてもやり方あるでしょ。それに米はどう説明すんだよ」
「どっかのおっちょこちょいが撒いたとか?あ、子供さんとかは?自分ちの」
「俺んちの子供、そこまで意味分かんないことしないから」
自信があるのでそう伝えるしかない。我が家の子供はそんな食べ物を粗末にするような子に育てた覚えは無いので、はっきり言い切ることが出来た。
じゃあ誰なんだ?誰が何のために、何の目的でやっている?
その疑問に答えられるものが居ない。
あの時の夢のように、心の中は闇に包まれていく。
そんな心情に反比例して、黄色い車は今日も綺麗だ。
そらからさらに数日。
「あ、平子さん。あれどうなりました?」
「あ?」
「ほら、車の」
それでもう伝わるくらいには、酒井の中では気になる事件と化していたのだろうか。それとも俺が言い出さないから、どうなったのか気になったのだろうか。
その数日の間には、被害がなかったので言うべきことはなかった。しかし、犯人は分からない。
そもそも俺が駄菓子好きとか言ったことあったか?いつ言ったよ?米にしたってそうだ、意味が無い。
「あー……まだ解決してない」
「嘘でしょ?」
「マジなんだって」
俺の困惑は伝わったようだ。いよいよ酒井も真剣な顔をして一緒に悩み始めた。しかし、どうしたら解決できるか分からない。
と言うか、犯人は誰なんだ?
うーんうーんと悩んだ挙句、酒井は言った。
「じゃあ……、俺先に車の近くに行って見張りますわ」
「は?」
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