13: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/03/06(金) 21:03:05.40 ID:hr1ls1V9o
「えっと、あの……平子さん、いつもありがとうございます。お礼の仕方、分からなくてすみませんでした」
いや、いいよもう。今更。なんかそれどころじゃねえわ。怖いわ。俺が怖いしお前も怖いわ。
「お米も、すみません。あれ、僕の周りに鳥がいたら綺麗だなと思って撒きました」
お前かよ。あれ片付けるの大変だったんだぞ。つーか鳥が車にいるとフンとかつけられっからやなんだよ。
「お菓子、お子さんの前で好きって言ってたから買ってました」
財布の中身減ってたのもお前かよ。
「それと、座席の下にえっちな本隠してすみません」
殺すぞ。
「……あの、その……またこうしてお話出来るかどうか、分からないけど」
何を言うべきか悩む『僕』は、最後に深々頭を下げて、嬉しそうな笑みを浮かべながら言った。
「ありがとうございます、そして、これからもよろしくお願いします」
それを最後に、突然ぷつっと糸が切れたように全身から力が抜ける。壊れたマリオネットは地面に叩きつけられかけて、眼前の男に慌てて支えられた。
しかし体格差があり過ぎる。
俺の体で隠され完全に暗転した画面の向こうで、酒井が文句を言いながら俺を支え、それから仕方なしに地面に寝かせる直前、録画は止まった。
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