12: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/03/06(金) 21:02:31.50 ID:hr1ls1V9o
「最初はなんか上手くいかなくて、それで……あの、『×××』って番組ありましたよね、収録」
「ああ、ラジオな」
「その時ずっと出てたんです、僕」
「……はああ!?なんかあん時やたら調子悪そうだったのは……」
「どうしたらいいか分からなくなっちゃって……」
「嘘だろ……え、嘘でしょ?」
「で、あの……どうやったら今までのお礼ができるか、物凄い考えて……お菓子、子供さんと食べて欲しくて買ってきたんです」
「……それで、車に?」
「はい。僕がやったって伝える方法はないですけど、車に置いておけば絶対見てくれるから」
「だからって……もうちょっとやり方あったっしょ。今のがマジだとしても、平子さんめちゃくちゃビビってたよ」
「ええと、それで……どうしたらいいか、貴方に聞きたくて」
「は?俺?」
「動画、撮ってましたよね。だから、もしかしたら、僕のことも動画に撮って貰えないかなと思って声をかけました」
「それでこれ撮れってうるさかったのか……」
画面の中の『僕』は見たこともないような顔をして、恥ずかしがり、困り、笑み、なにより俺に何かをしたかったと主張していた。
それを呆然と眺めている俺の顔を見て、酒井もまた「これ、マジのやつなんだ……」と小さく呟く。演技やら、どっきりやら、水曜のやつやらではないことを再認識したようだ。
録画の酒井は諦めにも似たような声音を放ち、『僕』に言いたいことを言うように促していた。
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