白菊ほたる「傘を弔う」
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16: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/02/24(月) 19:16:46.15 ID:3k7Y9koF0



初めて茄子さんとお墓参りに行ったのはわたしたちが出会ってちょうど一年経った頃だった。

それはひどく寒い日、おまけに雪が降っていて……
死者を弔うにはうってつけの空模様だった。

わたしたちは町はずれにある山林へ向かっていた。
茄子さんは紺色の大きな傘を、わたしは水色の子供っぽい傘を広げて、二人並んで歩いている。

「あ」

途中、傘の亡骸が、雪に覆われて道端に捨てられていたのを発見した。
茄子さんは無言で傘を拾うと、慈しむように雪を払って手に持った。

「行きましょうか」

わたしは小さく頷いた。



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