7:名無しNIPPER[saga]
2020/02/09(日) 02:23:45.17 ID:QhrXPTvL0
幼い頃からわたしは足が速かった。
幼稚園のかけっこも、小学校の徒競走も、男女問わず敵はいなかった。
理由は単純で、周りと比べて成長が早かったから。
息切れせずにいつまでも走れたし、準備運動なんてしなくても脚は痛まなかった。
一歩目でぐいんと地面を蹴り出して、二歩目で前に出る。
三歩目を踏むときにはもうわたしの前には誰にもいなくなる。
最初が一番楽しいから、スタートダッシュだけは頑張っていた。
ちょっと前傾気味に、つま先の少し前にお金が落ちているみたいな、そんな感覚で走り続ける。
途中からは少しずつ飽きてくる。
五十メートルも持たないほどで、あれれーと気勢がそがれてくる。
体力とかそういうものじゃなく、単にやる気の問題なのだろうと昔は不思議で仕方がなかったけれど今はそう思う。
でも、初めに付けた差はかなり大きいもので、わたしがスピードを緩めたとしても、わたしよりも前に来る人はいない。
そのやる気がなくなってくる前にゴールを迎えるようなかけっこや徒競走なんて速いに決まっている。
適性はあった。
けれど、わたしは走ることが好きでも得意でもなかったのだと思う。
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