スタートダッシュ
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10:名無しNIPPER[saga]
2020/02/09(日) 02:25:44.68 ID:QhrXPTvL0

 近頃のわたしはちょっと変だから、そんな大して面白くもなんともないことに口元が緩む。
 で、数秒経って、何もないところで笑ってるのってやばくないかわたしよ、と真顔になる。
 あたりを見回す。友達にでも見られていたらだいぶ変な人としてわたしの認識がアップデートされかねない。

 左よーし、正面よーし、み……ううっ。

 何やら視線を感じたから、わたしの右、つまり出入口に背を向ける。
 残像、シルエット、それがいつも見てるものっぽくて、ちらりと首をめぐらせる。

 てっきり睨まれたりしているのだろうと思っていたけど、彼女の表情からは何の熱も感じない。
 どちらかというと、観察? されて……はないか。目を開けながら寝てるみたいな感じだ。

 たまにこういうことがある。
 上から見ていても綺麗なのだから、正面から見据えればめっちゃ綺麗だなあって思うのは当然。
 見惚れかける。顔じゃなくて、脚とか腕とかに、なぜだ。

 まあ冗談はよそう。完全に向き直ると、彼女の目もまっすぐになる。
 何をやっているのか。愛想の欠片も感じないまなざしと表情。わたしは眉毛をへの字に曲げながら腕組みをした。

 へんなの。
 彼女に向けて、ってわけでもなく、出入口に向けて歩き出す。いつのまにやら潮が引いたみたいだ。
 そしたら彼女までそっちに歩き出してしまった。なんだこれ、等速直線運動的な?





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