【ミリオン】紗代子の欲しかったもの
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47:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 21:20:09.45 ID:2EYiqEug0



「……P!その時計、直したんですか!」

「ああ!これも、紗代子のおかげなんだ」


彼が商店街の時計屋さんに修理をお願いしに入店したら、
前に見積もりにきたときにはなかった、私のポスターが張ってあったそう。

彼が理由を聞くと、店主の方が先日のマラソン大会を見ていて、
私の熱のある走りにいたく感動したと、ファンになってくれたようで!
彼が私の関係者だと伝えると、いたく喜んで、特別価格で修理してもらえたそう。



最近彼とはスケジュールが合わなくて、朝会えなかったから、知らなかった。



「……でも、P。もしかしたら修理しないかもって…!」

私がそう尋ねると、彼はしみじみと語りだす。



「……あれから、紗代子に言われて時計のケースを見に行ったんだ。
展示品のケースに、俺の時計を入れてみたんだ。
ケース越しに見る俺の時計は、
なんだか…ただの傷だらけのくたびれた時計に見えてしまってな。

見れば見るほど、こいつがいるところはケースの中じゃないような気がしてならなくなって。
そう思ったら、直してやらずにはいられなくなったんだ」



「プロデューサー……っ!私も…私も、そう思います!」


私が走ったことで、巡り巡ってそんなことになるなんて…!
全部、ぜんぶ、ムダじゃなかった。
本当に、良かった…!






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