14:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 20:13:31.29 ID:2EYiqEug0
「ははーん、なるほどな!
もし腕時計に興味があるなら、機械式の音を聞いてみるか?」
そう言ってPは手招きする。
彼の座るソファーの隣に私を座らせて、私の手に腕時計をカチャリ、と手渡す。
私には、ズシリとくる重さ。ケースやバンドも含めてシルバーの金属製。
黒地の文字盤で、時針で3時にあたる所には日と曜日が表示されていて、
秒針がなめらかな動きで回っている。
バンドもケースも、ところどころ傷がついていて、使い込まれた腕時計。
悪く言えば、くたびれている腕時計。
「耳に当てて音を聞いてごらん」
私は言われるがままに耳に当てて意識を集中する。
……微かだけど、聞こえる。
チッチッチッチッチッ……
規則正しい、機械の駆動する音。
私のクォーツ式の時計でも、かすかに音はしたけれど、これはハッキリと聞き取れる。
私はこれを聞いて、思ったことを素直にこぼす。
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