13:伊丹 [sage]
2020/02/08(土) 20:11:44.94 ID:2EYiqEug0
◆
「よし」
朝、彼がいつもの調子で時計の時刻合わせをしている。
時計を左手に持ってきて、その音に耳を澄ます。
「うん、いいな!」
お決まりのセリフを言って彼は日課を終わらせる。
しかしその後で私の視線に気がつき、また照れたように頬をかく。
「……なぁ紗代子」
「はい♪ なんでしょうP!」
「飽きないか?」
「…あ、ご迷惑でしたか?」
「いや、そんなことはないんだけどさ。
なんだかいつも見られてるから。……面白いか?」
彼の日課の時刻合わせのとき。
私は彼の様子を少し離れたところから、両手で頬杖をついて眺めていることが多い。
「そう……ですね。
私の時計はクォーツ式なので、Pの腕時計は新鮮に見えます!」
本当は時計ではなく、彼の横顔を見ているなんて言えなくて。
つい思ってもいないことを言ってしまう。
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