33:名無しNIPPER[saga]
2020/02/06(木) 18:34:09.57 ID:lh55PHNT0
私もまつりと、それなりに長い時間を過ごしてきた。
だからこの子のやりたいこと、目指すもの、その深い部分の一端をも見ることができた。そんな気がしている。
この子が目指すものはきっと、この子自身がかつて憧れた概念そのもの。
私の心にも、同じ憧れは思い出として確かに刻まれている。だからわかる。その理想があまりに壮大すぎることも――。
人は大人になっていくにつれ、それが子どものときだけ見られる無謀な理想なのだとなんとなく理解し、折り合いを付けていく。
だからその折り合いを一概に妥協や諦めなどとも呼べない。ただ自分にできる範囲のことをしよう。そう前向きに捉えるのもまた大人の処世術なのだろう。
人生のどこかのタイミングでそんな風に折り合いを付ける体験を重ねていき、いつしか人は子どもではいられなくなっていく。
抱いていた空想や理想も、遠い日の思い出として心の片隅で輝くだけになる。
けれども――この子の思い出は、今もこの子の心の真ん中で爛々ときらめいて、動力源になっている。
普通の大人の処世術なんて、この子に通用するわけがない。
なぜならこの子は、人の身でありながら、誰かの思い描く夢そのものになろうとしているからだ。
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