31: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2020/02/05(水) 17:44:37.07 ID:zm72+V2G0
『私、もっともっとお兄ちゃんに甘えようと思いますっ!』
それはほんの数日前、彼女が言っていた言葉だ。
勿論その時の俺は響子は熱心だなぁと思いながらも普段の労いも含めて、とても甘やかす気まんまんだったのも覚えている。
勿論最初のうちは、常識の範囲内だった。
幾ら兄妹とは言えそれは演技だし、何よりまず成人男性と年頃の女の子だ。
周りから見て警察を呼ばれない程度に、俺たちは仲睦まじい兄妹をやっていただろう。
……けれど、彼女は弾けた。
『お兄ちゃーん、髪乾かして貰えませんか?』
『お兄ちゃん抱っこしてー、今日いっぱい頑張ったもん』
『お兄ちゃんっ! 雷怖いです! 一緒に寝て良い……よね?』
『お兄ちゃん……一緒にシャワー浴びませんか?』
一応言わせて貰うと、勿論一線を超えない様俺はきちんと断った(りもした)。
けれど断ると拗ねるし、凄く寂しそうにするし。
ほっとくと頭グリグリしてくるし、めっちゃ良い香りするし。
理性を保ち続けた俺を褒めて欲しいレベルだ。
……人って変わるんだなぁ。
そうしみじみ感じながら、俺は響子の頭を撫でる。
心地良さげに目を細める響子は、風呂上がりでとてもホカホカ火力。
なんて言うか、猫みたいだ。
でもきっと実際に三歳くらいの妹がいたらこんな感じなのだろう。
俺と響子の兄妹生活はつい数週間前に始まったものだし、そう考えると強ち間違いでもないのかもしれない。
響子「えへへー……あ、お兄ちゃん。重くないですか?」
P「……あぁ」
響子「それじゃあもっと……ぎゅーっ!」
ぶっちゃけ重いよ、精神的に重いよ、という言葉をぐっと飲み込んだ。
……まぁ、うん。
間違いだらけな気がしている。
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