九頭竜八一「何がわかった?」夜叉神天衣「竜王になるための条件よ」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/02/05(水) 01:27:21.00 ID:30BMMpCHO
「しゃっ!」

バチンッ! と両手で思い切り頬を叩いた。
八一は深く反省して、気合いを入れ直した。
自分は挑戦者なのだと自らに言い聞かせた。

「……ふっ」

頬杖をついて寝ていた竜王から吐息が漏れた。
たぶん、笑ったのだと思う。楽しそうだ。
良い夢を見ているのか、狸寝入りしてるのか。

(これが……竜王)

改めて、竜王の読み筋に感嘆する。
持ち時間の使い方、広範な知識、重ねた経験。
全てにおいて、最高を兼ね揃えた、鉄の巨人。

(勝てるのか……いや、勝つんだ!)

自分は挑戦者。
竜王に挑むならば、勇気が必要だ。
先程の緩手すらも足がかりとして。

(舐めプしたなんて、絶対に言わせない!)

いつまでも後世に残る棋譜を汚さないように、それが竜王に対する侮辱への謝罪だと信じて、八一は持てる全てを捧げて竜の王に挑む。

「カアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「……ふむ」

(厚い……熱い! 竜王の懐は厚くて熱い!!)

意を決して、顎門の中に飛び込んだ。
鋭い牙と灼熱の業火に身を晒しながら。
若さと勢いに任せて、腹の中で暴れまわる。

(まだ、倒れないのか……!)

竜王は倒れない。
これまでの潔さとは一転。
しぶとく粘り、じっと耐えていた。


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