白雪千夜「私の魔法使い」
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17: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:45:33.92 ID:ldlfMP+C0
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 ユニット曲や衣装の打ち合わせ、LIVE会場の手配、その他にもプロデューサーとしてなすべき仕事を片付けるためデスクでパソコンに向かい根を詰めていると、ドアの開く音が聞こえてきた。

「お、千夜か。どうだった?」

 普段の仏頂面が少しも崩れることなく、冷然とした返事が返ってくる。

「何を考えているか分からない、と言われました。以上です」

「顔色1つも変わらないとは、クールだなあ」

「別に感情が無いわけではありませんが、手応えも無ければ驚くことも無いでしょう」

 ユニットデビューの企画の裏で、アイドルとして活動し始めたばかりの2人がそれぞれどこまで仕事を勝ち取れるのか、オーディションに挑戦させているものの未だ吉報は届いていない。

「こんな無駄なことをさせるくらいなら、レッスンを受けていた方が幾分マシなのですが」

「無駄じゃないって。何だよ、最初から受からないって決めつけてちゃ、受かるものも受からないぞ」

「お嬢さまならともかく、私が一人で赴いたところで結果を待たずとも見えているでしょうに」

「ちとせの方も、上手くいかなかったみたいだけどな」

「……見る者の目が悪いのでは?」

「いや、それは相手方に失礼だから……」

 ユニットを組ませる時はちとせを出汁に焚きつけたものだが、こと個人の活動範囲となると途端に消極的になってしまっている。何とか千夜にもアイドル活動に前向きになってもらうにはどうしたものか。

 ちとせからも託されているし、何より千夜にもちとせのようにアイドル活動を楽しめるようになって欲しい。それは千夜を輝かせるための必須項目といっていい。

「えっと、じゃあ同じオーディションを受けてた子を思い出せるか? どんなアイドルがいた?」

「? そう、ですね」

 口元に軽く握った拳を当てて、うつむき加減に千夜は今日受けたオーディションを振り返っている。




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