14:3/27 ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:42:04.19 ID:ldlfMP+C0
「私は私のために今を楽しみたい。ただ、それ以上に千夜ちゃんが輝いてる姿を見たくなったの。静寂に包まれた月光浴もいいけど、舞踏会でスポットライトを浴びるなんて素敵じゃない♪ あなたには期待してるんだから」
「……責任重大だな」
ちとせが千夜に寄り添う形で、千夜は孤独から救われた。在りし日の面影を無くそうと、千夜がちとせに忠義を尽くす理由はもう聞くまでもない。
「本当は、僕ちゃんなんて呼ぶことも無くなる日がくればいいんだけど。まずは1つずつ、ねっ」
「うん、了解した。千夜のことは、やるだけやってみるから」
「だーめ、絶対に輝かせてみせる! ぐらい言ってくれないと、噛みついちゃうよ?」
「……わかった。でもそれは君もだ、ちとせ。2人のプロデューサーなんだから、どっちも輝かせてみせないとな」
「そうこなくっちゃ♪ ……だから、千夜ちゃんのこと、お願いね。あの子をあの子らしくしてあげて」
互いに思い遣っているのは伝わった。2人の関係性についてこちらに知らせておくことが、今日のちとせの狙いでもあったのだろう。
しかし、それならば。ちとせなら、多少時間は掛かっても自分の力でかつての千夜を取り戻すことも出来るのではないか、とも思う。
ちとせの僕としての生き方以外のことに千夜の目を向けさせるには、確かにちとせだけでは難題だ。そうするように命令として受け取って従うだけでは、独りでも歩けるようになったとは言えないからだ。
それにそこまでの大義を、それが出来るかもしれない第三者の立場であれ、まだ付き合いの短い間柄だというのに託してしまってもいいのだろうか。
「それは、私の都合かな。今度は私の話……聞いてくれる?」
首肯し、ちとせが語り始めるのを待つ。
ちひろとも話していた分疲れているのか、ちとせは一度大きく伸びをしてから、今度はしっかりとプロデューサーの目を紅い瞳が射抜いた。
「私、きっと長くないと思うんだ」
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