21:名無しNIPPER[saga]
2020/01/26(日) 21:52:33.54 ID:eEyX7Fuh0
数分も歩けば見えてきた。
幾つものの幟旗が立ち並び、行き交う人の数も増えてくる。
「肇。少し、覗いてみないか」
「手創り市……?」
「ああ」
賑わいを見せる鬼子母神堂。
その境内の入口に『雑司ヶ谷手作り市』の看板が掲げられている。
戸惑う肇の手を引き、俺達は境内に足を踏み入れた。
「わ……」
雰囲気こそ縁日に近いが、出ている屋台は一味も二味も違う。
雑貨、アクセサリー、衣類、菓子。
手作りの品々が、作った張本人によってこれでもかと並べられている。
さて、気の利いたアクセサリーの一つでも見繕えればいいがと前を向いた瞬間、
掌の温度がどこかへとすっぽ抜けているのに気付いた。
探し回るまでもない。肇の姿は陶器の出店の前にあった。
並べられたマグカップやらを手に取っては壮年の店主に何かを訊ね、
実に楽しげに会話を弾ませている。
肇は、楽しそうだった。
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