33:ちょっとゴリ押し[saga]
2020/01/26(日) 16:29:19.00 ID:bU5vzFbh0
(魂だと...?)
しかしアレイスターが注目したのは彼女が取り出したオレンジの宝石で三流魔術師の傷を癒した事ではなく、その宝石の正体が魂である事だった。
勿論魔術師特有の"匂い"を感じさせない彼女がなぜ回復魔術を使えるのか、その点でもアレイスターの疑問を加速させていった。
だが、それ以上に気になる事が彼女の魂であった。魔術を極め、己の魂を一〇億八三〇九万二八六七通りに分化させたアレイスターだからこそ気付いた事である。
彼女の魂は肉体から抜けて物質化されており、精神体で肉体と繋がっている状態である。
先程の彼女の魔法少女発言や回復魔術、そして何よりも彼女の魂が物質化している事等、気になる点が多々ありアレイスターは思考の沼に沈んでいった。
が、不意にメルヘン少女から、
「確認するけどこれをやったのはあなたってことでいいのかしら?一般人に危害を加えて鳥の命も奪って」
と声をかけられた。敵意を孕んだ声色で。
なんの事かと辺りを見渡し、ああなるほどと納得した。
というのも今の今まで忘れていたが、辺りはマニアックな中学生が好きそうな杖に古ぼけた本、倒れている黒いローブを着用した男、極め付けは鳥の血を使って描かれた巨大な魔方陣。魔術師をぶっ飛ばした自分がやったと思われているのだろう。
全く、路地裏だからと油断して考えなしにあの三流魔術師をぶっ飛ばしたのは失敗だったなとアレイスターは心の中で悪態をついた。
取り敢えず早くこの場の収拾をつけたいアレイスターは誤解を解くための説明を始めた。
「確かにそこのクソ野郎をぶっ飛ばしたのは私だ。少しばかり事情というものがあってね。だがそこの魔方陣らは私ではないよ。君の傍にいるヤツがやったことだ。」
「...」
目の前の黄色いメルヘン少女はアレイスターを怪訝な顔をしたが信用してくれたのか、
「...分かったわ。あなたの言う事は信じる。だけど今回は忠告で済ませるけど、どんな事情があっても人に危害を加えないでくれないかしら?お互い争い事はしたくないでしょう?」
「分かった、肝に銘じよう」
これで何とか場をおさめる事に成功したアレイスター。
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