芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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99: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:01:05.12 ID:hoMUvMIQo

「いろんな人に言われたっす。辛かったよね、とか、無理して笑わなくたっていいんだよ、とか。でも、そんなこと言われたって、わたし、本当に分からないんすよ。辛いとか、苦しいとか、悲しいとか。自分がいま手にしているどの感情がそれにあたるものなのか、考えても考えても、分からなくて」

 それがきっとどこかにはあるのだと信じて、私は雨の中を必死に探し回った。
 だけど、結局、何一つも見つけることなんてできなくて、むしろ雨に打たれるたびに何かを見失っていくような気さえした。

 プロデューサーさんは黙り込んでいた。

 辺りをくまなく覆った雨が、彼の気配を、その息遣いさえも隠してしまっていた。
 頭上の空を半分だけ遮った黒色の傘だけが、彼がいまもそこに立っていることを私に教えてくれていた。

 それでも怖くなって、私は尋ねる。




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