芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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96: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:59:02.34 ID:hoMUvMIQo

「あさひは本当に強いよ。俺は、あの人だって、そのことを痛いほどに知っている。だけどさ、あさひ。この世界には、道の途中に置いていったって構わないものが幾つもあるんだ。全部を背負って生きていくなんて、普通は出来ることじゃない」
「プロデューサーさんの言いたいことは分かるっすよ。ちゃんと分かってるつもりっす。でも、そんなの、仕方がないじゃないっすか。わたしだって、望んでこうなったわけじゃない」

 捨ててしまえば楽になるなんて、そんなことは分かりきっている。
 だけど、こんなのは捨てようと思って捨てられるものじゃない。
 多くの人はそれを無意識的にこなせるのだろうけれど、でも私はそうじゃないから、だからずっと抱えたままでいるしかない。

 こんなことをいちいち説明するのはきっと無駄なことだ。
 理解できるとかできないとかの話じゃない。理解しようと思われることさえないような類の感情だ。
 私のそう短くもない人生が、何よりも強くそのことを証明している。

 だけど、息が苦しくて、胸が詰まりそうで、思わず私は声に出した。




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