95: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:58:28.91 ID:hoMUvMIQo
「それは、気づいていないだけだ。あさひだったら分かるだろ」
彼はそう言った。
私は首を縦にも横にも振らなかった。
「辛くないなんて、そんなはずがないだろう――ないんだよ。なあ、あさひ。半年前、俺があさひの担当になったあの日からずっと、俺の目にはまるであさひが泣いているようにみえて仕方がないんだ」
「泣いたことなんてないっすよ、わたし。これまでに一度だって」
「それは知ってるよ。一緒にいたこの半年間、あさひだけが何も変わらずに笑っていて、いつも通りで、だからそれが泣いているようにみえるんだ」
胸の奥につっかえる重たい息を吐き出すような声で、彼は続ける。
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