84: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:52:11.53 ID:hoMUvMIQo
「じゃないっすか、じゃあないだろ。ほら」
彼は呼吸を整えようともせずに、左手を差し出した。
私はそれを受け取って、酷く濡れている髪の上にとりあえず乗せる。
二〇秒ほどの間、彼の様子が落ち着くのをそのままじっと待っていた。
傘を叩きつける雨粒の破裂音がパラパラと、相も変わらず耳障りだった。
ようやく肩を下げたプロデューサーさんが言う。
「何か見つかったか?」
その問いかけに私は少しだけ驚いて、ゆっくりと首を横に振る。
「思ってた通りっすね。なんにもなかったっす」
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