8: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:01:59.39 ID:hoMUvMIQo
「よく分かんないっす」
結局のところ、私はそう答えるしかなかった。
分からないものは分からない。こんなことで嘘をついても仕方がない。
私は相変わらず助手席の窓に向かっていた。
なのに、その向こう側で運転席の影とどういうわけか目が合って、そうして初めて、外に賑わった街の流れが止まっていることに気がついた。
赤信号だ。
運転手の両手から解放されたハンドルは、少し休ませてくれとでも言いたげな様子でピタリとも動かない。
車体を揺らすエンジン音もまた、幾分か穏やかな調子を刻んでいるように思えた。
行ったり来たりのワイパーを何となく目で追いながら、私は続ける。
153Res/110.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20