62: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:37:22.52 ID:hoMUvMIQo
扉を開くと、まるで芳香剤の残滓を絡めとるみたいに、雨上がりに特有のむんとした匂いが鼻を突いた。
頬を掠めていく風は、まるで薄い水膜を通した布のように冷たく湿っていた。
身体を若干屈めて外へ出る。
「何かあったら連絡してくれ」
私は頷いて、なるべく大きな音を立てないように、ゆっくりと扉を閉めた。
足元の水溜まりに透明の空が反射している。
このままここに留まっている理由は何もない。私はとりあえず駐車場の外へ向けて足を進めた。
153Res/110.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20