芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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62: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:37:22.52 ID:hoMUvMIQo

 扉を開くと、まるで芳香剤の残滓を絡めとるみたいに、雨上がりに特有のむんとした匂いが鼻を突いた。
 頬を掠めていく風は、まるで薄い水膜を通した布のように冷たく湿っていた。

 身体を若干屈めて外へ出る。

「何かあったら連絡してくれ」

 私は頷いて、なるべく大きな音を立てないように、ゆっくりと扉を閉めた。

 足元の水溜まりに透明の空が反射している。
 このままここに留まっている理由は何もない。私はとりあえず駐車場の外へ向けて足を進めた。




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