芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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27: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:15:08.21 ID:hoMUvMIQo

 押し開けられた扉の内側を、やはり彼の背中を追うようにしてくぐる。
 直前、素直に傘を持って出かけたほうがいいだろうかと一瞬だけ考え直して、しかし結局、私は何も持たずに事務所を後にした。

 仄暗い階段を駆け足で下って、いまは駐車場に停められているだろう車がやってくるのをしばらく待つ。

 ふと空を見上げる。
 黒の平行線の上に小鳥の影、背景はわずかに日の傾いた空。
 なるほどたしかに、一時間前の空模様に比べると灰色の切れ端が幾分か目立つように思える。

 だけど、それだけだ。

 これから雨が降るなんて、やっぱり信じられない。傘は要らない。




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