芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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17: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:08:22.74 ID:hoMUvMIQo

  *

 そしてすべての音が消える。文字通りにあらゆる音が、世界の秒針さえも巻き添えにして、ちょうど三小節分だけ消える。
 ちゃんと覚えている。その空白は言葉にすると短いようで、実際にはとても長く感じられる。
 無音の後で最初に聞こえてくるのは、ボーカルが入る予定のメロディを鳴らすシンプルな電子音だ。
 でも、それで反応してたんじゃとても間に合わない。全身をぴたりと静止させたまま、だから頭の中でリズムを刻む。

 ――さん、に、さん、し。

 再び動き始めるのは四拍目。
 下げていた右手を顎のあたりまで引き上げて、次の小節に入るまでに胸の前へ持ってくる。
 事前に指示されている動作はもうそれまでで、残りは全部アドリブだった。




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