124: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:15:24.50 ID:hoMUvMIQo
その最中、私は不意に思い出す。あの日、酷い雨の夜、歩道を歩いていた水色の傘の少女のことを。
いまにして思えば、私はあのとき既にすべての答えと出会っていた。
いつかの私は、あの少女のことがただ純粋に羨ましかったのだ。
何者でもないままで、だけど誰よりも特別だった、あの少女のことが。
水色の傘の下で楽しそうに笑う少女は、どこまでも綺麗で透明だった。
私は結局、その透明になりたかったんだ。
ならばあのとき、私の答えは、もしかするとプロデューサーに届いていたのかもしれない。
そう考えるのはいくらなんでも希望的観測が過ぎるだろうか?
でも、あの人は本当に頭が良かったから。それに、いつだって私と同じものを見ようとしてくれていた。
ならばこそ、ほんの短いやり取りだけで私と全く同じ結論に至っていたとしても、大して不思議なことじゃないという気がした。
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