芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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119: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 21:12:30.07 ID:hoMUvMIQo

「よかったよ」

 すっかり濡れてしまった傘を片手に、彼はようやく笑った。
 雨上がりの空みたいに暖かく透き通った笑顔だった。

「もしかしたら、これが悲しいってことなんすかね」

 私は自分の内側を確かめるようにして言う。

「心の奥のほうがじんわりと痛むような、そんな感覚。思い出そうとするだけでぎゅっと息が詰まって、思わず何かを叫びたくなるような、そんな感覚。これが悲しいってことなんすかね」




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