芹沢あさひ「この雨がいつか止んだなら」
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11: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2020/01/04(土) 20:03:39.84 ID:hoMUvMIQo

「『何者か』」

 私は、やはり窓の外を眺めながら言う。

「わたしは何者でもないのかな」

 雨粒が窓の表面を斜めに走っていく。
 その跡を目で追うわけでもなく、私の視界はただぼんやりと中空を捉えていた。
 向こう側の景色なんて、そんなもの、もうどうだっていい。

 青い傘の少女が踊っている。

 雨の中を、楽しそうに、くるくると、ゆらゆらと、まるで青い灯火みたいに、誰の手も届かない場所で、少女が踊っている。
 ずっと。ずっと。

 ――ああ、駄目だ。忘れられない。




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