高山紗代子「敗者復活のうた」
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151: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 14:25:05.77 ID:ZRhpxi3E0
『これは伝聞だが、山で遭難した人が助けを呼んでいた。山岳救助ボランティアの人がその声を聞きつけ、声のする方へ急いで向かった。果たしてその声の聞こえた方角に、遭難者はいた。だが』

紗代子「? なんだろう」

『遭難者がいたのは、数キロも先の場所だった。常識的に考えて、声など届くはずもない。だが、救助者は確かにその声を聞き、遭難者を見つけた。俺も経験があるが、山というのは不思議な場所だ。だが、それを差し引いても思うのは、必死な人間の懸命な声は、物理的な事柄を飛び越えて人の心……魂というものに届くのではないだろうか』

紗代子「必死な人間の懸命な声は、人の魂に届く……」

 紗代子は虚空を見つめ、大きく頷いた。

紗代子「プロデューサーは山登りをするんですか?」

『今でこそこんなだが、学生時代は登山部だった。高校や大学の頃は山にばかり登っていた』

紗代子「ふふふっ。こんな、って言われても見えませんよ。ええと……だから私を、選んでくれたんですか? っと」

『? どういう意味だ?』

紗代子「私の名前が、高山だからです」

 珍しく返信が遅くなった。
 もしかして、つまらない冗談でプロデューサーの気を悪くさせてしまったのだろうか?


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