120: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:13:28.27 ID:G9OiTGlK0
珍しい、感情を露わにした蓮実の言葉に、俺は視線を落とす。
Sに才能があったのは間違いない。そしてそれをSは、必死で磨いた。結果、世で評価された。
俺でなくても良かったのではないだろうか――?
121: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:13:54.39 ID:G9OiTGlK0
そうだったな――
俺が担当をしてくれるなら、アイドルになる……そうこの娘は言ってくれたのだった。
一緒に夢を育てよう、そう言ったから彼女はアイドルになってくれた。
夢を……一緒に育てる!
122: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:14:23.52 ID:G9OiTGlK0
全てがわかった気がした。
俺はこの瞬間、理解した。
俺が、この娘を時に大胆に、そして時に笑顔に、更には余裕を与えていたのだ。
蓮実「それにハスラーさん? 心配しなくてもレトロは、アイドルと戦闘機の組み合わせを経験済みなんですよ?」
123: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:14:50.87 ID:G9OiTGlK0
蓮実「ハスラーさん?」
P「ん? な、なんだ?」
蓮実「出会い、おぼえていますか」
124: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:15:29.39 ID:G9OiTGlK0
翌日にはSの番組への正式なオファーが届いた。
バラエティー的な側面もある番組だがやはりメインは、歌謡トーナメントだ。
8人のアイドルが歌を含めたパフォーマンスを披露し、勝ち抜き戦で優勝を決める、とある。
125: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:16:08.09 ID:G9OiTGlK0
P「蓮実、当初の予定とは違ってしまったが、出た賽の目を楽しもう。世間の注目の集まっているここで優勝して、一気にトップアイドルへと駈けあがろう」
蓮実「はい! Sちゃんの前で優勝します」
頼もしいな。
126: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:16:38.04 ID:G9OiTGlK0
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
蓮実の日記
こわい。
127: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:17:05.77 ID:G9OiTGlK0
蓮実「あの、今日のレッスンは外でするんですか?」
P「そうであるとも言えるし、そうでないとも言えるかな」
少し青い顔をしていた蓮実から、笑みがこぼれる。
128: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:17:39.63 ID:G9OiTGlK0
P「言っておくが、それは悪いことじゃない。初めての収録を前にして、なんの根拠もなしに自信満々でいられても、それはそれで問題だ」
蓮実「そういう……ものですか?」
P「コトの重大さを理解していたら、とても楽観的に構えていられないだろうからな。恐いということはそれだけ、現状把握ができているということだ」
129: ◆hhWakiPNok[saga]
2019/12/28(土) 15:18:15.64 ID:G9OiTGlK0
カメラマン「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
蓮実「え? あ、はい。おはよう……ございます」
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