26: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:58.96 ID:yU6CR/tX0
「ちょっと待って、待ってっ」
「ん、いつまでも待つよ」
27: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:29:27.43 ID:yU6CR/tX0
楽しいことがあっても、前髪とパーカーで隠して、袖で見ているだけの女の子。前髪をぱっつんにしたのは変わろうと思ったからだっけ。袖で見ているのは変わらないまま、でも楽しい雰囲気を味わうことはできるようになった。
アタシだってトクベツになりたいよ、プロデューサーサン。現実と理想の間をふらふらと歩いてきたアタシにとって、マジメで全力なことは眩しすぎる。ずっと怖くて逃げてきたことだけれども、変われるなら変わってみたいんだ。
28: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:29:56.00 ID:yU6CR/tX0
「あのね……」
最初の一言が思ったよりも弱々しくて慌てて取り繕ってしまう。これじゃ心配されちゃう、ダメダメっ。
29: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:30:57.14 ID:yU6CR/tX0
◇
30: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:31:24.19 ID:yU6CR/tX0
「柚さんが一緒に走ろうって言ってくれるなんてっ、嬉しいですっ!」
「この前は駅伝のお誘い断っちゃったし、それにちょっとねっ」
31: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:31:57.31 ID:yU6CR/tX0
ふたりの笑い声が白くゆらめく呼吸と一緒に朝焼けの空に響く。ゆっくりと走り出せば、悠貴チャンはペースを合わせてくれる。部活のときはもっとだらっとみんなで走ってるなーなんて反省すれば、なんだか今の自分が熱血漫画の主人公になったような気分になる。いやいやいや、それはアタシのキャラじゃないっ。
「センターのこと、受けられたんですねっ」
32: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:32:24.55 ID:yU6CR/tX0
「んー」
悠貴チャンのどうなんだろうという小さな呟きは足音にかき消されてしまいそうだった。だからアタシは答えるのをやめてしまう。アタシのイメージするセンターと、悠貴チャンのイメージするセンターは少し違うのかもしれない。これはアタシが無事にセンターを務められたら聞いてみようと思う。
33: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:33:03.90 ID:yU6CR/tX0
◇
34: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:33:32.32 ID:yU6CR/tX0
「どうかなっ?」
「はいっ、うんと、柚ちゃんはソロが多くなるのでもうちょっと声がでるといいですね」
35: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:34:06.06 ID:yU6CR/tX0
「でも柚ちゃんには柚ちゃんの歌い方ってあると思います」
「えーっ、そうかなぁ」
36: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:34:32.81 ID:yU6CR/tX0
◇
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