16: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:23:44.01 ID:yU6CR/tX0
「……っ」
それは難しいコトなんじゃない? アタシの中の警報が真っ先に告げる。真ん中ってのは全力で頑張るコトをしているヒトのための場所なんじゃないかって。そこにアタシが相応しいとはどうしても思えなかった。
17: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:24:26.17 ID:yU6CR/tX0
急にプロデューサーサンが分からなくなった。アタシの気持ちを分かってくれているのか、そうじゃないのか。
「あ、アタシはっ」
18: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:24:53.64 ID:yU6CR/tX0
託されようとしているものの重さなんか知らないくせに、膨らむばかりの想像に苦しむ。いろんな人にがっかりされるアタシの幻にカラダの震えが止まらない。これは冬のせいかな、それともプロデューサーサンの、アタシのせいかな。 答えに迷っている間に車はアタシの家の前に着いていた。
「今すぐ答えがほしいわけじゃないよ、ちょっと考えてみてほしい」
19: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:25:27.43 ID:yU6CR/tX0
◇
20: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:25:56.10 ID:yU6CR/tX0
「次はなにしよっかーっ♪」
それをできるだけ顔に出さないようにいつもよりもはしゃいでみたりする。そんなアタシはピエロみたいだと思う気持ちを精一杯誤魔化そうとするけど、全然追いつかない。いつか誰かにそっと触れられてしまうことが怖い。それなんだったらいっそのこと。
21: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:26:22.22 ID:yU6CR/tX0
「柚ちゃん、どうかしました?」
「……今度の公演でセンターをやらないかって」
22: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:26:55.94 ID:yU6CR/tX0
「えっ、えっ、みんなは迷ったりしないの?」
「うーん、ちょっと勇気がいるなって思うことはありますけどっ」
23: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:27:37.08 ID:yU6CR/tX0
みんなにとってのトクベツがどこかにあるんだってことをアタシはまた目の前で見送るだけなんだろうか。好まれるような強くて優しいヒトじゃないのは、そして、どやってできるなにかがないのは、どうしてだっけ。
アタシにとってセンターは眩しいスポットライトのあたる場所。トクベツなヒトのための場所だ。
24: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:04.14 ID:yU6CR/tX0
◇
25: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:32.73 ID:yU6CR/tX0
プロデューサーサンの顔を見続けていたら、なんだかいろんなものが揺らいじゃうような気がして、給湯室へとさっと逃げる。やかんのお湯が沸くのを肘をついて眺めていることに気付いてこれは重症だって苦笑いをした。お揃いの模様で並んだマグカップ。お湯をどれだけゆっくり、ゆっくり注いでも、あっという間に終わってしまう。時間稼ぎにはどうやらなってくれないらしい。
「はいっ、コーヒーお持ちっ!」
26: ◆tues0FtkhQ[saga]
2019/12/25(水) 00:28:58.96 ID:yU6CR/tX0
「ちょっと待って、待ってっ」
「ん、いつまでも待つよ」
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