74: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:21:07.75 ID:nY0iWbpOO
そして一晩あければ冬が来る。寝る前シャワーを浴びたらヒリヒリすると言っていた卯月もいつもの肌に戻っている。窓の外は大雪で一寸先すら見えない。とてもじゃないけど外で遊ぼうって気にはならなかった。
「それで芳乃の部屋から何か見つかった?」
各々時間を適当につぶして夜になる。俺と肇は寮の中にあった囲碁をパチパチと打ちながら芳乃の部屋の話をしていた。あの時加蓮が現れたから打ち切ったけど、芳乃の部屋の中にまだ何かあると俺は見ていた。そこで彼女と交友が深く。部屋に入ってもおかしくない肇に芳乃が残したメッセージを探してもらっていたのだ。しかしことはそう簡単にはいかない。相手は嫌味な性格をしてる割には用心深いらしく、現状を打破出来そうなものはほとんど持っていかれたそうだ。もしかしたら俺たちが強制的に眠ってしまう間に芳乃の部屋を漁ってたりするんじゃないか?
「でも、一つ気になるものがあったんです」
「気になるもの?」
「はい。見つけにくいところに隠してたんですが……これです」
そう言って肇は小さな鏡を俺に渡す。
「鏡か。やけに古そうだけど」
手鏡ほどのサイズではあるがかなり年季が入っていそうだ。同時にひとつ、この鏡の使用法が分かった気がした。
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