133: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 23:15:26.83 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん?」
「このクマは2匹で1セットだったんだ。だから……そのっ」
アメリカに行って夢を叶えようと思う。そう言うだけなのに、次の言葉が紡げない。言ってしまえば全てが終わってしまう、そんな気すらしていた。結局、美穂が心配なんじゃない。俺が美穂から離れられないーー。
「プロデューサーさん。私は熊本の女です、だから強いんです。そして……私が好きな人も、強いんです」
「美穂……君は」
美穂は女の子のクマを俺に渡す。
「だから言わせてください。思いっきり夢を、叶えてきてくださいっ。あれ、どうしてかな? こんなこと、本当は言いたくないのに……ずっとプロデューサーさんがそばにいるって思っていたのに……」
優しい笑顔に星のような涙が浮かぶ。
「本当に君は、強くて俺の自慢のアイドルだよ」
指輪を交換するように、俺は男の子のクマを美穂に渡した。
「寂しくなんか、ないんですからねっ……!」
泣き虫な2人を冬の大三角形が見下ろしていた。
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