103: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 19:57:53.39 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん、お疲れ様です」
「お疲れ美穂。良い演技だったよ、監督も褒めていた」
「えへへ、練習した甲斐がありましたね」
ふにゃりとはにかむと美穂は少し背伸びをしてアピールをする。褒めて欲しい時の合図だ。俺は彼女の今に手をやり子供を褒めるみたいに撫でてやる。アイドルとプロデューサーの関係に一つ新たな関係が追加されてから美穂は俺に甘えることが増えた。身体をひっつけたり、ご飯を食べている時は餌を待つ雛鳥みたいになってみたり……彼女なりに世間一般を理解しようとした結果なのだろうけど、なんだか子どもっぽくて不思議とほっとしていた。
何より俺に褒められたいという欲求がモチベーションになってか、18歳になってからの美穂は目覚ましい。オーディションに出れば役を勝ち取りステージの上では緊張していたあの頃の姿はどこへやら、ハキハキとしたMCをやりとげる。まあ、人間だから失敗することもあるけどそれすらもアドリブに組み込んであっという間に立ち直す。今まで眠っていたポテンシャルが途端に解放されて押しも押されもせぬトップアイドルへの道のりを歩んでいた。シンデレラの靴を履く日も近い、そう思っていたのにーー。
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