100: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 19:50:13.38 ID:nY0iWbpOO
「美嘉ちゃんが読んでた本に載ってたんです。冬の夜景が綺麗な場所だ、って」
それはいわゆるデートスポットの一つだ。カリスマギャルが買うような雑誌に載ってしまった時点で穴場という言葉は消えてしまう。俺たちの他にも何組かカップルがいたけどみんな星空と隣の恋人に夢中なようでこちらに一切の興味を向けやしない。アイドルの小日向美穂がいるぞ! と叫んでも然程気にはならないだろう。
「えっとあの星がベテルギウスだから……プロデューサーさん、冬の大三角形ですっ!」
「へぇ……」
夏や冬の大三角形は小学校で学んだ記憶があるけどはっきりと見たのはこれが初めてかもしれない。あまり理科の授業が得意じゃなかったのもあるけど、星にそこまでのロマンを感じなかったのもある。一方隣に座る美穂は意外にも星と星が紡ぐ物語に興味があるようで、あれはこの星、それはあの星と饒舌だ。
「美穂は星が好きなんだ」
「意外ってよく言われるんですけどね。私、お日様だけじゃなくて星空も好きなんですよ? 地元のですけど、プラネタリウムのスタンプカードももってたり。えへへ」
正直この夜になるまで俺も知らなかった新事実だ。名前の通りの日向ものだと思っていたけど夜空に憂いの表情を見せる一面もあるなんて。
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