武内P「私をドキドキさせたい?」小梅「……うん」
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3: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/12/08(日) 17:43:47.16 ID:obxw+A5Q0
まま、待ってください楓さん! 小梅さんが気に入るって……そ、その人は本当ににんげ――」
ガチャリ
「ヒィッ……!」
幸子ちゃんの言葉の途中で、ドアノブがゆっくりと回る音が、低く、鈍く響きわたった。
油を差していない機械のように、ぎこちなく幸子ちゃんがドアへと視線を向ける。
顔が蒼ざめながら引きつっているのにカワイイだなんて、幸子ちゃんはおいしいなあ。
少しずつ開くドアの向こうから、黒に近い紺色が姿を見せる。
ヒールをはいた楓さんでも大丈夫な決して低くはないドアを、“それ”はドアをくぐるようにして入ってきた。
廊下の照明を後ろに立つその大きな存在は影を伸ばし、小さな幸子ちゃんを暗闇で呑み込んでしまう。
「あわ……あわわわわわゎ!」
「のわっ!?」
生まれたての小鹿のように震えていた幸子ちゃんは、恐怖が限界に達したのか弾かれるようにこの場で一番パワフルな茜さんの背中に飛びついちゃった。
突然のことに体がのけぞった茜さん。
そしてのけぞることで、ちょうど部屋に入ってきた“それ”と目が合った。
「お……おおおおおおおぉ!!?」
「ひ、ヒイィィィィィ!?」
私たちより6センチも身長が高いのに、そこまでしないと目線が合わない巨大な存在に茜さんは驚きの咆哮をあげる。
突然の咆哮に幸子ちゃんはさらに恐怖でおののく。
なんて、カワイイ。
“それ”は茜さんと目を合わせたあと、確認するようにゆっくりと視線を部屋に巡らせ――ついに私と、目が合った。
「うわぁ……」
自然と感嘆の息が漏れちゃった。
“それ”は、プロデューサーという言葉から連想されるイメージと、かけ離れた存在だった。
一九〇に届くかもしれない背丈に、それに見合う肩幅と胸板。
獲物を何日かかってでも追いつめるに違いない、鋭い目つき。
眉間のシワは犠牲者の断末魔を聞くたびにより深く刻まれる。
黒に近い紺色のスーツは、血を浴びることでより黒に近づく。
私の反応が意外だったのかな。
“それ”――その人は不思議そうに首を傾げた。
その些細な動作から、なんとなくこの人の不器用さを感じて、第一印象が正しいんだと確信しちゃって――興奮しすぎて、つい口にしてしまった。
「フランケンシュタインだぁ……!」
今にして思えば、興奮していたとはいえ初対面の人にあんまりな言葉だったね。
プロデューサーさんは驚きで固まって、楓さんは肩を震わせて笑うのをこらえて、美嘉さんは慌てて私をたしなめてくれた。
……ちなみに幸子ちゃんは「やっぱり化け物なんですね!?」と茜さんにますますしがみつき、茜さんは幸子ちゃんにしがみつかれたまま「フランケンシュタインなんですか!? だから大きいんですね! これからよろしくお願いします!」と近づいちゃうもんだから幸子ちゃんがますますパニックになって――私のせいで初顔合わせは混沌としたものになっちゃった。エへへ♪
元担当5人衆(脳内設定)
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