武内P「私をドキドキさせたい?」小梅「……うん」
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2: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/12/08(日) 17:42:52.05 ID:obxw+A5Q0
※ ※ ※
「うわぁ……」
出会った時、自然と感嘆の息が漏れちゃった。
今日は私たち5人をプロデュースしてくれる人との初顔合わせの日。
もう会ったことがある楓さんを除いたら、みんな緊張したり興奮したり。
だから楓さんにどんな人なのか訊くんだけど――
「おうてからのおうたのしみ。ふふっ」
こんな感じではぐらかしてばかり。
楓さんと初めて会ってから、まだ一週間しかたっていない。
私よりずっと年上で、背だってとても高くて、何より同じ人間とは思えないぐらい綺麗な顔をしてて――こんな別次元の領域に住んでいるような人と一緒にデビューするって聞かされて、最初は怖いと思っちゃった。
だから初めて楓さんがダジャレを言った時は理解が追いつかなくて、幸子ちゃんと一緒に固まっちゃったよ。
見た目は絵画から抜け出たように綺麗なのに、実はダジャレが好きで年少の私たちにも優しい。
そんな凄い人をモデルからアイドルに引き抜いたのが、私たちを今日からプロデュースしてくれる人なんだって。
「ええ〜? ちょっとは教えてくださいよ楓さん! ヒント! ヒントだけでもいいから★」
そんな楓さんに不満――というには明るすぎる声で不平を鳴らしたのは美嘉さん。
楓さんと同じモデル出身で、見た目がすごく派手だったから出会った当初は緊張したけど、それも一瞬のことだった。
背が低い私たちに合わせて前かがみになると、優しくゆっくりと話しかけてくれる。
話が弾んでいくうちに、私や幸子ちゃんと歳が近い妹さんがいるってことを教えてくれて、ああ、だからお姉さんみたいで安心できるんだとわかった。
「ん〜、それではヒントを出します」
爪先まで整った人差し指をピンと立てると、楓さんは笑いをこらえようとして――
「あの人は――ププッ」
――こらえきれずに吹き出した。
……うん。こんなに綺麗なのにお茶目だなんて、もしかして楓さんは最強なんじゃないかな?
楓さんのような人には、自分勝手で何もかも恨めしく思うタチの悪い幽霊だって敵わない。
多分、とり憑こうとした瞬間に成仏しちゃう。
「あの人は――あの人ってば――ズバリ! 小梅ちゃんが気に入ってしまう人でしょう!」
「……え?」
物思いにふけっていたから、思いもよらぬ名指しにポカンと口を開けちゃう。
私が……気に入る人?
それって……どんな“存在”?
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