【シャニマス】アルストロメリアと幸せな日常
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9: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 17:29:17.69 ID:86FQdztyO

 
『永遠に出られなくなってしまったらしい……』
 
 ……なんだ、これ。
 一体どんな意図があって、俺はこんなメモを残したのだろう。
 永遠に出られなくなってしまった?
 ……電話か? 営業先の人を怒らせてしまったのだっただろうか?
 
「お兄ちゃーん! 早く来ないと冷めちゃうよーっ!」
 
 一階の方から、甘奈が俺を急かす声が聞こえてきた。
 
「あっ、すまん! すぐに……」
 
 ドサッ!
 
「うわっ!」
 
 慌てて書類を片付けようとした勢いで、誤って全てぶちまけてしまった。
 机一面が書類で埋まる。
 しまったなぁ、案件ごとに並べていただろうにこれじゃ分からなくなってしまった。
 ところで今更だが、これは何の書類だったのだろう。
 
 俺の仕事のものである事は分かるが、それが何の仕事だったかが思い出せない。
 ずっと働いてきたのにそんな事あるか? とは思うが思い出せないものは思い出せないのだ。
 夢の出来事を起きてから思い出そうとしてもハッキリとしない様な、そんな感覚。
 見たところ芸能系の仕事の様だが……
 
「…………ん?」
 
 床に落ちた勢いで広がってしまったクリアファイルの中から、これまたメモ用紙が飛び出ている。
 それを俺は、何故かこっそりポッケへと仕舞い込んだ。
 
 コンコン
 
「兄さん? おっきな音が聞こえましたけど……大丈夫ですか?」
 
「ん、あぁすまん千雪。片そうと思ったら落としちゃってな」
 
「もう……小まめに片付けて下さいっていつも言ってるじゃないですか」
 
 そう言いながら、千雪は散らばった書類を集め始めた。
 結構色んな所まで広がっていたのか、机の下からも出てくる。
 
「はいどうぞ、兄さん。お部屋のお片付けなら後で私もお手伝いしますから」
 
「ありがとな、千雪」
 
 そうだな、今日は久しぶりに部屋の模様替えなんかも良いかもしれない。
 いつも忙しくて掃除すらきちんと出来ていなかったし、千雪達に家の事を任せっぱなしと言うのも申し訳ない。
 
「そう言えば……」
 
 メモに書いてあった事を、俺は千雪に相談しようとした。
 永遠に出られなくなってしまったってどう言う事だと思う?
 自分で書いた覚えが無いんだが、もしかして甜花がゲームの攻略で書いたメモがこっちに紛れ込んじゃったのか?
 そんな感じで、気軽に、何てことなく……
 
「……朝ご飯、今日は誰が作ってくれたんだ?」
 
「ふふ。それは後でのお楽しみです」
 
「そっか、楽しみだ」
 
 ……何となく、聞いては不味い気がした。


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