50: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:44:00.84 ID:86FQdztyO
『私達と幸せな日常を送る事、ですよね? 兄さん』
今度こそ。
本当に、心が折れた。
『ふふっ、もう……兄さん、本当にどうしようもない人なんですから』
「……ち……ゆき……?」
なんで……
どうして、千雪の声が通話越しに聞こえるんだ。
『ダメだ、って……私、覚えてないですけど言ったと思うんです』
「なん……で……」
『それなのに、冬優子ちゃんと連絡するなんて……兄さん、少しおいたが過ぎると思いませんか?』
それから。
甲高い、悲鳴の様な声が聞こえてきた。
『冬優子ちゃんも……私達と、私達の兄さんの幸せを邪魔しちゃダメよ?』
『っぁ゛ぁぁぁっっ!!』
「やめろ……やめてくれ……」
見えなくても分かってしまった。
今千雪が冬優子に対してしている事が。
知っているから。
トラウマとして、俺の心に深く刻み込まれているから。
俺は、また何も出来なかった。
通話の先では、冬優子が苦しい目に遭っているのに。
なのに俺は、助ける事が出来ない。
庇う事すら出来なかった。
「……やめろ……俺が悪かった、千雪……もうやめてくれ……!!!!」
涙が溢れる。
どうしてこうなるんだよ……
上手く行きそうだと、思っちゃったじゃないか。
俺が冬優子を巻き込んでしまったせいで。
……結局全部、希望を持ってしまった俺のせいで……
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