48: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:42:53.10 ID:86FQdztyO
「……やり直せるからって……無かった事になるからって! 目の前で大切なアイドルが殺されて耐えられる訳がないだろ!」
『そうならない様に動けば良いじゃない! 何度も試したあんたなら出来るでしょう?!』
「耐えられる訳が無いんだ! 受け入れられる訳が無いんだよ! だって! 俺のせいで……甘奈は……っ!」
『落ち着いてよ、あんたが焦ったらどうにもならないじゃない!』
「また失敗したらどうすんだよ! また俺が大切なアイドルを手に掛ける事になんてなったら……俺は……っ!」
『落ち着きなさい!!』
「うるさい! 今日が今日しか来ない奴に何が分かるんだよ!!!」
そこから先は、唯ひたすらに俺の弱さを吐き出しただけだった。
「どうせ俺がふざけた妄想でもしてると思ってるんだろ!」
「変な夢見てバカな事言ってると思ってるんだろ!」
「殺したんだぞ! 俺が! 甘奈を!」
「千雪だって手に掛けた様なもんだ!」
「何度も繰り返したんだ! 何十も! 何百も!」
「無理なんだよ! 俺一人がどうしたところで! 冬優子が何を言ってくれたところで!」
「もうどうにもならないんだよ!!」
「分かってんだよ! このまま幸せに生きてくのが一番楽だって! 幸せだって!!」
「何をしたところで無駄なんだよ! だから……」
だから。
もう疲れたから。
何をしたって無駄だから。
涙が止めどなく流れる。
嗚咽が止まらない。
それでも俺は。
思い浮かべた、かつての、遠過ぎて最早夢だったんじゃないかという様な光景を思い出して。
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