30: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/12/04(水) 18:32:55.39 ID:86FQdztyO
『……ふーん、なるほどね。それであんたはふゆに連絡を掛けてきた、と』
「あぁ、信じられないかもしれないが困った事に本当なんだ」
『……信じられるワケ無いでしょバッカじゃないの?!』
「……えっ?」
あれ、『って言いたいとこだけど、まぁあんたが嘘を吐いてる様でも無さそうね』じゃないのか?
何故だ?
昨日……って今日だから……前回は信じてくれたのに。
前回より言葉が足りて無かったか?
「……冬優子に嘘は吐かない。絶対だ、命を賭けても良い」
『はいはい、下らないとこで命賭けてんじゃ無いわよこのお馬鹿さん』
……不味い、このままでは俺が頭おかしい奴だと思われてしまう。
しまった、泣くのを忘れていたのか。
必死さも無かったかもしれない。
何とかして俺の話を信じて貰わないと……
「……もうすぐあさひが窓から飛び出そうとするから窓の前に立ってろよ」
『は? 何言って……ちょっあさひあんた何やっうおぁぉぉふゆまで落とす気かおい芹沢あさひぃぃぃぃぃっ!!』
ドトドドドッ、っと走り声が聞こえた。
あ、あさひが謝ってる声がする。
愛依の笑い声も聞こえた。
なんだか懐かしくて、涙が出そうになった。
『はぁ……悪かったわね、戻ったわ……って何泣いてんのよ気持ち悪い』
「っ、なんて言うか、日常が懐かしくてな」
『それと……疑った事に対しても悪かったわね。あんたが同じ日を繰り返してるのは本当だったみたい、ごめんなさい』
「いやまぁ確かに、信じてくれって方が難しいのは分かってるさ」
通話越しにいきなり『ループしてる』だの『家から出れない』だの言われたら先ずは病院を勧めるだろう。
少なくとも俺なら通話を切る自信がある。
『でも……前回のふゆは信じたんでしょ?』
「……え、自分と張り合ってるのか?」
『……うっさい! で、ふゆの言った通りちゃんと向き合ったら上手く行ったのね。ふゆのお手柄じゃない!』
「あぁ、だからありがとうって伝えようと思って連絡したんだ」
『良い心がけじゃない。それじゃまた相談する事ね、どーせふゆは忘れるんでしょうけど。でもこれだけは覚えておきなさい』
ふふっ、と。
とても優しく笑って。
『最初は疑うかもしれないけど、ふゆは絶対にあんたの事を信じおい窓から手を離しなさい芹沢あさひぃぃぃぃっっっ!!』
ピッ、ツー、ツー、ツー
……た、頼りになるなぁ冬優子は。
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