130: ◆rDMPFYnrzE[saga]
2019/12/04(水) 19:14:05.70 ID:/pT5YGo8o
先達の徳行は、私にとってはまさに青天の霹靂だった。
そうだ、欲しい物があるというのに、なにを我慢する必要があったのだろう。
枷より解き放たれた心は豪炎となった翼を広げ、黒青の空へと堕ちていった。
甘い痺れが走る手足を激情のままに動かし、柔らかな頬を両手で包み込む。
その瞳に灯された感情は、恐怖と、諦念と――ほんの僅かな、安堵。その色を見て取り、私は確信する。戦うことに疲れた彼を守るための判断は、やはり間違っていなかったのだと。
自身よりも大きく、しかし遥かに非力な体をしっかりと抱き締める。今度こそ、もう何処にも行かせない。二度と離しはしない。
「御主人様。好きです。大好きです。愛しています――心より」
――永遠に。
142Res/98.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20