環いろは「桜子ちゃんが二人になっちゃった?!」
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60: ◆LXjZXGUZxjdx[sage saga]
2019/12/01(日) 22:19:18.49 ID:5yCClcPC0


いろは「あ、あのっ・・・」

桜子「 |・・・?| 」グスッ...

いろは「きっと大事なお手紙なんですよね・・・? よかったら代わりに私が読み上げましょうか・・・?」

桜子「 |・・・・うん、お願い| 」

いろは「コホンッ。それでは失礼して・・・」


いろは「拝啓。雲一つないお日様の下で満開の万年桜が咲き誇る美しい光景が、未だに私の記憶に色濃く刻まれていますが、桜子ちゃんがお目覚めの頃はどうなっているでしょうか」

桜子( |桜は枯れ果てて曇天になっているよ・・・| )


いろは「私が悩みに悩みぬいた決断を下したあの日、桜子ちゃんは永遠の眠りに付きました。桜子ちゃんは、もう二度と目が覚めることはない運命ですが、その運命を覆す奇跡が起きた時のためにこの手紙を遺します」

桜子( |奇跡・・・?| )


いろは「大勢いた神浜マギアユニオンのメンバーですが、この手紙を書く頃には、結成当初のメンバーで存命なのは私とやちよさんだけになりました。そんな私も、もう長くありません。この手紙を書き終えた後に天寿を全うすると思います」

桜子( |いろは・・・。いろははやっぱりもうこの世にはいない・・・| )

いろは「今までの私の人生は、桜子ちゃんが未来の記憶を持ってきてくれたとはいえ、やはり十七夜さんが言った通り、思い通りにいかないことが多かったです。何度も選択を失敗したと後悔しました。その度に何度も泣きました」

いろは「そんなときは、桜子ちゃんが途方もない苦労をしたことを思い出しました。『桜子ちゃんの苦労に比べればこんな程度なんでもない、桜子ちゃんの頑張りを無駄にしないためにも頑張るんだ』と、そう自分を奮い立たせ、諦めず挫けず立ち止まらず、私が思い描く理想の未来を目指しました」

いろは「そして時は流れて、年老いて戦う力を失ってからからというものは、あの頃は大変だったねえ、なんて、やちよさんと思い出話に花を咲かせながら余生を過ごしていました」

桜子( |いろは・・・。長生きできたのかな・・・? いろはの人生は幸せだったのかな・・・・?| )


いろは「さて、桜子ちゃんが永遠の眠りに付いたあの後について記しておこうと思います。あれから私は悲しい気持ちが晴れることはありませんでした。どうにかして桜子ちゃんの苦労が報われ笑顔になる方法はなかったのかと毎日悩み考えました」

いろは「考えに考え抜いて、おぼろげながらその方法が見えた頃に、ねむちゃんと灯花ちゃんと話しをしました。そうしたら、二人とも同じようなことを考えていてびっくりしました。二人とも桜子ちゃんの事を、私と同じくらい大切に想っていてくれたのがとても嬉しかったです」

いろは「その方法とは、桜子ちゃんのウワサの内容を加筆することです。上手くできるかの確証がなかったので、命が無駄にならないよう、ねむちゃんが亡くなる前日にそれを決行しました。始めに行ったことは、この時間軸のねむちゃんの本に桜子ちゃんの記述を作ることです」

いろは「具現とは逆の作業ですが、具現と同じだけの魔力が必要になります。しかし、ねむちゃんの命は残り一日。感情も消えそうで、魔力も体力もほとんど残されていませんでした。なので、みんなに手伝ってもらいました」

いろは「まずはレナちゃんがしっかりと時間をかけてねむちゃんに変身しました。これで魔力の質がねむちゃんとほぼ同じになります。それからみとちゃんが、ねむちゃんとレナちゃんの心を繋げました。ねむちゃんが、永眠した桜子ちゃんのウワサの内容を正確に想像し、その想像通りにレナちゃんが本に内容を記しました」

いろは「これで桜子ちゃんの記述ができました。最後の加筆はねむちゃんの手で行いました。しかし、その頃のねむちゃんはもう手を動かすどころか、呼吸すら辛い状態でした。それでもみんなで力を合わせました」

いろは「ももこさんが激励し、夏希ちゃんが応援し、巴さんがねむちゃんの切れそうな命の糸を繋ぎ留め、あやかちゃんがねむちゃんの折れそうな心を冗談にしました」

いろは「みんな泣きながらも声を振り絞り応援をしました。それだけみんなねむちゃんが好きで、そして桜子ちゃんも好きだったからです。この時間軸の桜子ちゃんは色んな人と関わり合いを持って、たくさんの友達ができていました」

いろは「桜子ちゃんはみんなの環の中になくてはならない存在でした。時間軸は違えど、そんな桜子ちゃんのためだったらと、みんな喜んで協力してくれて、そして必死になってくれました」

いろは「そうしたたくさんの想いに支えられながら、ねむちゃんがその人生で最後に加筆したウワサの内容は」

桜子( |私がタイムマシンの知識を持てなくする?| )


いろは「 “友達に会えるまで眠り続ける” です」


桜子( |えっ・・・?| )

いろは「その一文を書き終えて、ねむちゃんは息を引き取りました。桜子ちゃんがねむちゃんの命日の記憶を持ってきてくれたおかげで、生前のねむちゃんは効率よく時間を使うことができ、課された使命を全てこなし、天寿を全うしました」

いろは「また、ねむちゃんが亡くなったことにより、この時間軸の桜子ちゃんも存在が消えました。それはとても悲しいことでした。桜子ちゃんを知る大勢の人が悲しみました」

いろは「ですが、それだけこの時間軸の桜子ちゃんが愛されていたと思うと、とても嬉しく思いました。生前友達に囲まれ楽しそうに笑っていた桜子ちゃんの事は、今でもはっきり覚えています」

いろは「だからこの手紙を読んでいる桜子ちゃんも、経験してきた苦労に見合うだけ多くの人に愛されるべきです。私が絶対にそうさせます。ねむちゃんと桜子ちゃんを送った私はその決意を新たにしました」



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