70:名無しNIPPER[saga]
2019/12/15(日) 19:29:25.67 ID:3Qvd3eSW0
雄大な草原が広がる湖の畔に、全体が白色で統一された大邸宅が建っていた。
1人の少年がパタパタと玄関へ駆け、忙しなくドアを開けて大声で叫んだ。
少年「ママー!パパー!ほら見て、お友達にお手紙もらったよ!」
少年が自慢げに手紙を掲げる様子を、母親は優しい表情で眺めている。
母「あら、良かったわね。誰から頂いたの?」
少年「んーとね...」
少年が封を開けて母親に差出人の名前を見せようとしていた時、父親がやってきた。少年から手紙を取り上げ読み始めた。
父「どれどれ...」
一通り目を通すと父親は大きなため息をついた。
父「駄目だな、こいつは格が低い。付き合うに値せんよ」
冷たい声でそう言い放つと、父親は手紙を引き裂きゴミ箱に捨てた。
父親「前から言っているだろ。この世界には支配する者とされる者がいる。支配する者にはそれなりの責任が伴う。自分でろくに考えることもできない馬鹿どもが自滅してしまわないように支配し、幸せに暮らさせる義務がある。そして我が一族は代々支配する側だ。被支配者は我々の良き隣人ではあるが友人ではない。それを肝に銘じろ」
そう冷たく言い放つと父親は廊下の奥へと消えていった。
少年「ううっ...グスッ...」
少年の瞳から大きな涙が溢れ出た。
母親は少年を抱きしめて、耳元で優しく話しかけた。
母「大丈夫よ...お父様もあなたのことを思って言ってるの。あまり悪く思わないであげてね...」
少年「うん...」
母「さあ、部屋に戻りなさい。またご飯になったら呼ぶからね」
少年は手で涙を拭いながら自室へと向かった。
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