450:名無しNIPPER[saga]
2020/03/25(水) 20:21:48.67 ID:7spt/LSV0
シャングリラ基地に戻った夜、飯田はベッドに倒れ込み、家族について考えていた。
飯田(何故兄さんが八咫烏に...?いや、分かってる。きっと父さんと母さんの仕事に関係してるはずだ。2人は会社員と言っていたが、そんな筈はない。でなければ、あんな事は起き無かった筈だ...)
忘れていたはずの記憶、忘れたかった記憶が蘇る。
父「晃司、ほら飼いたがっていた犬だ。1ヶ月間全ての世話を自分でするんだ。ちゃんとできればその後も飼うことを許してあげるよ」
飯田「本当!?やった、頑張るよ!」
父の言いつけ通り俺は犬の世話を全て1人でこなした。最初はトイレの躾にすら苦労したが、しばらく経つとそれも直ぐに解決した。
気づけば彼は俺にとって1番の友達とも言える存在になっていた。そして遂に1ヶ月が過ぎた日だった。
父「どうやら約束通りきちんと世話ができたみたいだね」
晃司「うん!だからこれからも飼い続けてもいいでしょ?」
父「...」
不気味な沈黙の後、父は犬のリードを木の幹に括り付け、俺に銃を渡した。
飯田「え?」
父「殺せ」
何を言っているのか理解できなかった。だが、父の冷徹な眼を目の当たりにして、銃口を犬に向けた。
飯田「っ...」
引き金に指をかける。手は震え、歯はガチガチと音を立てる。
ダァン!
父「...駄目か」
結局、彼を撃つ事はできず空に向けて弾を放っただけだった。それで精一杯だった。
父「もういい、中に戻りなさい」
飯田「でも...」
父「いいから」
さっきまでと違い、父の眼にはいつもの温厚な雰囲気が戻っていた。そうして俺は家に戻った。
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