白雪千夜「足りすぎている」
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72:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:35:39.04 ID:QXbKSZYO0
 決して折れない定規を背中に刺したまま、ソイツはその姿勢そのままの真っ直ぐな目で私を見つめ続ける。

「ですが、私はあなたの主体性に期待したいと考えました。
 図々しいお願いであることは承知しておりますが、能動的な一歩を踏み出していただきたい。
 自分から投げ出すことで得られるものを、その目で見てほしいのです。
 アイドルとは、その連続です」



 ――まったく、コイツは勝手なことをばかり言う。

「お前はウソつきですね」
「えっ?」

 いや、ウソつきというなら私も同じか。
 対等と言いながら、私に命じろなどと――。

「あるいは、バカです……バーカ」


 聞こえよがしに盛大なため息を吐いて、私は顔を上げた。

「お前と私は対等の関係。
 そういう約束だったことを、私も忘れていました。
 故に、責任を持つべきはお前ではなく私。いちいちお前に指図されるまでもありません」



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