白雪千夜「足りすぎている」
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70:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:32:20.81 ID:QXbKSZYO0
 ――視線を感じる。
 言うまでもなく皆の、そして、誰よりもアーニャさんの視線を。

 確かに私は、アーニャさんと親しくさせていただいていた。
 というより、何故かアーニャさんが積極的に私との交流を図ってくれると言った方が正しい。
 それは、断る理由も無かったし、悪い気もしなかった。

 ラブライカでない時のアーニャさんが、いつも何となく私と一緒にいることを、美波さんを含め、メンバーの誰もが認識していた。
 彼女と呼吸を合わせる適役は一人しかいないと、皆はすっかり思い込んでいる。


「遠回しな言い方などせず、ハッキリと私に命じたらどうですか」

 結果が見えていながらそこにたどり着かない部屋の空気に業を煮やし、つい言葉に棘が出る。
 私は、ソイツに一歩踏み寄った。

「お前が一言言えば、それで済む話です」

 私の後ろで「ちょっと千夜チャン……」と零すみくさんの声が聞こえた。
 当のコイツは、困ったような顔をして首の後ろを掻いている。

 困らせるような事は言っていない。私は事実を言っている。



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