白雪千夜「足りすぎている」
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230:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 22:00:41.65 ID:1/ZkFkMM0
「は?」

 目が点になり、間抜けな返事が零れる。
 常務という上席を前に失礼は承知の上だが、彼女の指す意味がまるで分からない。

 私の向かいに座る常務は、瀟洒に組んだ脚の上で腕組みをしている。

「サマーフェスの映像を見させてもらった。
 私の見たところでは、君のステージは取り立てて光るものがあったとは思えない。
 あれが初ステージであった事を鑑みても、細かいミスが目立つし、つまずいたところを渋谷凜に助けられたシーンもあった。
 私がイメージするスター性を持つアイドルとは、乖離した領域にあると言わざるを得ない」

「……それが何か?」

 いきなり呼び出した相手に対して、開口一番にダメ出しか。
 知らずムッとしてしまう。

「ハッキリ言わせてもらうが、今の黒埼ちとせのパフォーマンスは、君のあの時のレベルより遙かに上だ。
 だのに、あの子は今も君のステージを目標として見定め、それに肩を並べる事をモチベーションにしている。
 あの子がそこまで盲目的で分別がない人間とは、私には思えない」



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